東洋占術師 北基 乾のブログ

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権力争いの中で織りなす切ない恋物語「光る君へ」と八卦 雷沢帰妹の意味

今年の大河ドラマの「光る君へ」は最近の大河と違って天皇を中心とした政の中での激しい権力争い・・・と言っても武家の争いのように殺戮の連続と違って気品すら感じる争いを背景に、まひろという文学女性、のちの紫式部の恋と人間模様が前半を彩っています。

現実にはあり得ない恋物語ですが、藤原道長との恋が実に切ないものがありました。
特に、見ていても辛かったのはまひろが道長に文で呼び出されて、
廃邸へ向かうまひろは心の中で「道長様の妾(しょう)でもいい・・・」と
の思いで道を急ぐまひろ。

そのまひろを迎えた道長は開口一番「倫子の養子になる」の言葉を聞いたまひろは
ショックを受けて先ほどまでの「妾でもいい」との言葉を失ってしまう。
そして、道長も心の中でまひろに「妾でもいいと言ってくれ」と叫ぶシーンでは、
見てるだけで「どうして二人とも本音で話せないんや!」と突っ込みを入れてしまいそうになったものです。

 

 

 


さて、今日はその「妾」と八卦についてお話します。

六十四卦は全てで一つの大きな物語になってると言われています。その中の54番目の雷沢帰妹は少々生々しい内容です。

 


五十四、 雷沢帰妹(らいたくきまい) 


主文=歸妹、征凶。无攸利。

読み=帰妹(きまい)は、征(ゆ)けば凶なり。利(よ)ろしきところなし。

 

彖曰=彖曰、歸妹、天地之大義也。天地不交而萬物不興。歸妹、人之終始也。説以動、所歸妹也。征凶、位不當也。无攸利、柔乗剛也。

読み=彖(たん)に曰く、帰妹(きまい)は天地の大義なり。天地交わらなければ、万物興(おこ)らず。帰妹(きまい)は人の終始なり。説(よろこ)びてもって動く。帰(とつ)ぐところのものは妹(まい)なり。征けば凶なりとは、位(くらい)当らざればなり。利(よ)ろしきところなしとは、柔(じゅう)剛(ごう)に乗ればなり。

 

象曰=象曰、澤上有雷歸妹。君子以永終知敝。

読み=象に曰く、沢上に雷あるは帰妹(きまい)なり。君子もって終わりを永(なが)くし敝(やぶ)るるを知る。

 

「運気解説」
大意=この卦は中国独特の結婚制度の一つで正婦人に従って婚家に行き主人である正婦人と共に同じ男性に奉仕する妾婦を言う。実際の易占では異性間題の中のセックスに関した事柄に良く出ます、そんな男女がセックスを通じて楽しみ悦ぶ事は自然の成り行きでありその事意外は悪ではありません。三陰三陽・男女関係に良く出る卦で、恋愛や縁談を考えない男女の付き合い。

縁談=一夫一婦制の現在の制度から言えば大凶。恋愛中のカップルとかすでに相当深い仲の場合が多いが後日浮気等の問題が生じます。縁談話は成立しますが正式のお見合い等は断った方が良い。二号さんや愛人関係の話なら成立しても吉だが人の噂や世間にばれる事は覚悟する事。


【初爻】
主文=初九。歸妹以娣。跛能履。征吉。

読み=初九。帰妹(きまい)に娣(てい)をもってす。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)む。征くときは吉なり。

 

象曰=象曰、歸妹以娣、以恆也。跛能履吉、相承也。

読み=象に曰く、帰妹(きまい)に娣(てい)をもってすとは、恒(つね)をもってするなり。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)むの吉(きち)とは相い承 (う)くればなり。

結婚=凶。話に嘘が多いか当て馬にされてる。結婚以外の交際でもバカを見る。

 

【二爻】
主文=九二。眇能視。利幽人之貞。

読み=九二。眇(すがめ)能(よ)く視る。幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利(よ)ろし。

象曰=象曰、利幽人之貞、未變常也。

読み=象に曰く、幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利(よ)ろしとは、いまだ常を変ぜざるなり。

結婚=女は大凶。男は大吉。男は大吉だが、でも手をやく相手です。

 

【三爻】
主文=六三。歸妹以須。反歸以娣。

読み=六三。帰妹(きまい)に須(しゅ)をもってす。反(かえ)りに帰(とつ)ぐに娣(てい)をもってすべし。

象曰=象曰、歸妹以須、未當也。
読み=象に曰く、帰妹(きまい)に須(しゅ)をもってすとは、いまだ当たらざればなり。

結婚=凶。相手にその気が無いかセックス目当ての遊びか。

 

【四爻】
主文=九四。歸妹愆期。遲歸有時。

読み=九四。帰妹(きまい)に期(とき)を愆(あやま)る。帰(とつ)ぐを遅(ま)つこと時あり。

象曰=象曰、愆期之志、有待而行也。

読み=象に曰く、期(とき)を愆(あやま)るの志は、待つことありて行くなり。

結婚=凶。婚期の遅れた人ならやむを得ないが別の話を待て。


【五爻】
主文=六五。帝乙歸妹。其君之袂、不如其娣之袂良。月幾望。吉。

読み=六五。帝乙(ていいつ)妹(まい)を帰(とつ)がしむ。その君の袂(たもと)は、その娣(てい)の袂(たもと)の良きにしかず。月望(げつぼう)に幾 (ちか)し。吉なり。 

象曰=象曰、帝乙歸妹、不如其娣之袂良也、其位在中、以貴行也。

読み=象に曰く、帝乙(ていいつ)妹(まい)を帰(とつ)がしむ。その娣(てい)の袂(たもと)の良きにしかずとは、その位(くらい)中に在り、貴(き)をもって行けばなり。

 

「運気解説」

結婚=大吉。条件が釣り合わぬ縁でも人物本位に考えて進める事。

 

【上爻】
主文=上六。女承筐无實、士刲羊无血。无攸利。

読み=上六。女(じょ)筐(かご)を承(う)けて実(み)なく、士(し)羊(ひつじ)を刲(さ)くに血なし。利(よろ)しきところなし。

象曰=象曰、上六无實、承虛筐也。

読み=象に曰く、上六(じょうりく)の実(み)なきは、虚(むな)しき筐(かご)に承(う)くるなり。

結婚=凶。結婚詐欺か口約束だけか。

 

 

 

雷沢帰妹での縁談・結婚についてのみ抜粋しました。

卦としては大凶となっていて、正式な婚姻としては宜しくない強い暗示が出ています。

各爻でも同様ですが、ただ例外としては卦主の五爻だけは意味が違っています。
五爻では、古代中国の皇帝の帝乙は自分の妹を政略結婚の道具としてではなく、自分の片腕ともいえる部下に嫁がせて、末永く国を安泰に治めた故事に倣って説いてます、条件が釣り合わぬ縁でも人物本位に考えて進める事で幸福を得られるという結論となります。

 

勿論、現在社会では愛人であっても妾(めかけ)二号さんなどは許されないつまらない?時代となってしまいましたが、先の大戦大東亜戦争敗戦前は、女性は一人では生きてゆく術もない時代でしたから、力(経済力)のある男性の妾(しょう)となって平穏な暮らしが約束された背景もありました。

 

以前にもこのブログで書いた記憶がありますが、明治の経済人で今度一万円札の肖像にもなる渋沢栄一は正妻以外に三人の妾(しょう)がいてたとか、また大阪経済の礎を築いた五代様コト、五代友厚は正妻以外に十人の妾がいてたともいわれています。

 

まあ、当時は頑張れば頑張るほど男は欲望を果たせましたが、今ではそれをすれば社会的に抹殺されてしまいますので、仕事もテキトーにやってれば十分でしょうよ。

 

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