
最初の天地創造の天を意味する乾爲天から最後の火水未濟までを辿れば一つの物語になると言われています。
ここで面白いのは、ユダヤ教やキリスト教の旧約聖書にしるされている天地創造と古代中国の八卦思想とはいずれも天と地の始まりからこの世が作られているという考えが完全に合致しています。
八卦では天を意味する乾爲天の次は地を意味する坤爲地に続いた三番目の水雷屯は、天の男と地の女が交わってできた子供=人類を意味していて、これからの苦難を暗示していて、四柱推命での十二運では生まれてきた喜びと苦しみを意味する「沐浴」にも通じているのも大城いというか不思議でもあります。
そこで今日は「八卦秘傳禄」の乾爲天の鑑定内容を紹介します。
八卦で判断できることは他種多様ですが、纏めてみれば次の通りです。
大意=天の大いなるもの(乾)が二つ重なり、その意味が倍加される。竜が天空に飛躍する迄の段階を示す。積極性、活動的、男性的等を意味します。その反面物事のやり過ぎとか強引さに要注意。
運気=占ってこの卦を得た者は、その望みが大いに通ります。その為にはよろしく貞正の態度をとり保つべきである。今まさに上昇運です、わき目も振らずに一つの事柄に全力を投入し一つ一つ階段を昇る様に努力すれば大成功は間違い有りません。但し猛進すれは裏の坤爲地が出ます。時には柔軟さも必要です。
願い=精神的、名誉的な事柄には吉。乾天は無であり空なので物質的金銭的な事柄は凶。
縁談=相手も自分も同じ乾、(上卦が相手で下卦を自分とみる)従って女からみた場合は立派な男性に逢いますが男から見た場合相手の女は強情であり男勝りです。たがいに互角に渡りあう 何れかが条件を下げると成立します。
交渉=筋道を立てて積極的に進めば吉。又目上の人に頼めば力になってもらえます。妻と同道するのも良策です。正しい事は吉、悪事の相談は大凶。
家出=西北の方が多いが案外南西にいる場合がある。同性の連れ、異性の連れの二通りが考えられる。一人の場合は警察から知らされる事もある。
失物=西北の高い所か南西のガラクタの下。早ければ出るが時間が経つと出ない。
転業=吉方を選べば差し支えは有りません。但しどうしても高級な所に眼が向き、思ったよりも資金も要します。
旅行=問題は有りません。五、六人の連れがある。華やかな旅になりそう。
試験=合格と見ます。但し変卦による。少し高く望み過ぎるきらいあり。
天候=晴天と見ます。冬は大雪又は冷え込みが厳しく抜ける様な青空。夏はカンカン照りで水不足。
出産=胎児の育ち過ぎで多少の難がありそう。もし妊娠していれば女児が多い。
病気=頭や頭痛・首・肺・伝染病又は神経の病気・腫物・むくみ・食欲不振・生理不順。長く放置すればどんどん進行して不治の病になりやすい。(この場合女は危ない)病気は複数の場合が多く帰魂の卦と言い余病併発の恐れあり。
価格=常識的には天井近いと見て下落すると見る。但し上がり始めたものなら吹き上げます。
売買=掛け声ばかりで実体が無く又相手も強気ですからなかなか成立しない。また成立しても実利は薄いので消極策が吉。
これらが乾爲天が出た時の大局的な判断ですが、次は各爻の説明と詳しい判断となります。
【初爻】
主文=初九。潛龍。勿用。
読み=初九。潜竜(せんりょう)なり用(もち)うるなかれ。
象曰=初九曰、潛龍勿用、何謂也。子曰、龍德而隐者也。不易乎世、不成乎名、世无悶、不見是而无悶。樂則行之、憂則違之。確乎其不可拔、潛龍也。
読み=初九に曰く、潜竜(せんりょう)用うるなかれとは、何の謂(い)いぞや。子曰く、竜徳(りょう とく)ありて隠れたる者なり。世に易(か)えず、名を成さず、世を遯(のが)れて悶(うれ)うることなく、是(ぜ)とせられずして悶(うれ)うることなし。楽しめばこれを行ない、憂うればこれを違(さ)る。 確乎(かくこ)としてそれ抜くべからざるは、潜竜なり。
「運気解説」
大意=初爻は最下の陽剛、たとえれば地下に潜む竜、才徳があっても軽々しくこれを用いることなく修養して時機の到来を待つべきである。現在の立場は地下にあり才能があっても時期尚早、力を蓄えて置く事。修養して時節の到来を待つべき時。事を起こすのは良いが今では無いもう少し待つ事まだ早い。
願望=今はその時期ではない望みも高過ぎるので達っせられない、事によっては二爻又は五爻迄待たなければならない。小さな事は女性を使うことによって達せられます。
事業=将来は有望です。試験・選挙・勝負・訴訟・移転・新築は凶。但し今は着手の時では無い。
失物=出ない。従業員か家族が隠している。
待人=来ない。来ても遅い。
家出=近くの身内のところに隠れている。
結婚=不可。成立しても遅れる。変卦して天風姤になるから女子不貞。男勝りで性も放漫。
妊娠=有無はあり。但し早い時期は流産、早産に注意。
病気=激しい下痢・風邪こよる冷え・ノボセ。老夫は特に悪化の兆しあり。
この様に、同じ乾爲天でも爻(こう)と言うその卦のポイントで結果もまた大きく違ってくるところが八卦の奥深いところでもあります。
八卦秘傳録では乾爲天から火水未濟まで初爻・二爻・三爻・四爻・五爻・上爻まで事細かく夫々の判断を掲載してあります。
